会社の税務を円滑に行うためには、良い税理士に依頼することが重要です。しかしどうやって税理士を選べば良いかわからない方も多いでしょう。ポイントをしっかり押さえれば、自社にぴったりな税理士であるかどうかを判断できます。
本記事では良い税理士・ダメな税理士を見極めるポイントや見分け方について解説します。個人事業主、フリーランス、法人の経営者問わず、税理士選びは事業と密接にかかわるので、ぜひ参考にして良い税理士を見つけるために役立ててください。
そもそも良い税理士とは?
良い税理士とは、顧客目線に立ち、事業をともに成長させたいという意欲を持って仕事をしてくれる税理士です。税理士のなかには最低限な業務だけを行い、決算時の書類作成以外ほとんど仕事をしないような税理士もいれば、毎月の数字をきちんとチェックして、必要であれば経営に関するアドバイスまで適宜行ってくれる税理士もいます。顧客目線であるかどうかはレスポンスの早さや対応の柔軟さなどにもつながるので、良い税理士かどうかを判断するうえでは重要な要素でしょう。
もちろんどのような税理士が良いと感じるかは人や会社によって異なります。ここで紹介したのは、一般的な見分け方のポイントと考えてください。実際に税理士を選ぶ際はここで説明したことを念頭に置き、次に説明する良い税理士を見分けるポイントをチェックするのがおすすめです。
良い税理士はすぐわかる?見極めるための7つのポイント
以下のような点に着目することで、良い税理士であるかどうかはすぐわかるでしょう。
・レスポンスが早い
・人柄が良く相性が良い
・顧客目線を持っている
・節税や会計の知識をくれる
・自社の業界に詳しい
・ITに強い
・最新の情報を把握している
上記、良い税理士を見極めるための7つのポイントについて、具体的に着目すべき点などをそれぞれ解説します。
ポイント1.レスポンスが早い
レスポンスの早さはビジネスマンとしては基本的なことですが、税理士のような士業であるとこういった点を疎かにする人もいます。これは税理士がもともと寡占市場であったため、サービス向上に努めなくても仕事に困らなかったことが原因として考えられますが、最近では税理士の中にも競争が生まれています。レスポンスが早く、顧客サービス向上に努めていることは、良い税理士の条件ともいえるでしょう。
ポイント2.人柄が良く相性が良い
相性や人柄は税理士の業務スキルと直結するものではありませんが、長期間に渡って付き合うことを考えると人柄や相性も重要です。相性が悪く円滑なコミュニケーションが取れない状態では、業務内容にも悪影響を及ぼすでしょう。
実績や所属している事務所の大きさだけにとらわれず、人柄や相性といった感覚も大事にしてください。
ポイント3.顧客目線を持っている
税金についての知識はもちろん必要ですが、顧客のニーズにいかに応えるかを真剣に考え柔軟にサービスを提供してくれる税理士を選ぶことが重要です。
単に申告書の作成を代理してくれることだけが税理士の仕事ではありません。税務に関する説明を丁寧に行い、経営に関するアドバイスや数字からわかることなどを教えてくれるような、こちらの求めているものを汲み取ってくれるのが良い税理士です。顧客目線になり、積極的に協力してくれる税理士を選びましょう。
ポイント4.節税や会計の知識をくれる
税理士から節税に関するアドバイスを受けたい人も多いと思いますが、節税は税理士の本来の業務ではないため誰でも節税のアドバイスをしてくれるわけではありません。節税をしたいのであればその旨を事前に説明し、それに適したサービスを提供してくれる税理士を選びましょう。
また会計に関して詳しいという経営者はどちらかといえば少ないので、税理士が会計に関する知識を教えてくれるというのは大きなメリットです。お金は事業活動の重要な資源なので、お金に強くなることは事業を安定させることに大きく役立つでしょう。
ポイント5.自社の業界に詳しい
会計処理は業界が変わればやり方が異なるということもよくあります。そのため自社の業界に詳しい税理士でないと、会計処理を誤る可能性もあるので注意しましょう。
業界の関連法規に対する理解はもちろんですが、そのほか商慣習や契約形態、決済方法にも業界特有の方法があります。もし税務の処理を誤ってしまった場合、税務調査で指摘を受けて追徴が発生することもあるので、実際に金銭的な損失が生じます。税理士ごとに得意な業界や強い分野があるので、良い税理士を選びたいのであれば契約前に自社の業界に詳しいかどうかを必ずチェックしてください。
ポイント6.ITに強い
税理士は平均年齢が高い職業ということもあり、ITに疎い人も少なからずいます。そのため実績が豊富で評判が良い税理士であってもITに疎い場合があるので、IT化の導入が進んでいるかどうかも重要です。
SlackやChatworkによる連絡手段がとれない、DropboxやGoogle Driveでデータを共有できない、Excelを使った表計算ができないといった税理士だと、スムーズな連携が取れずに不便を感じます。
整理士のようなもともと寡占市場であった職種では、旧来のやり方のままで変化に対応しないような事務所も少なからずあります。ITツールは使えてあたりまえだと思わず、事前に確認しておくことが重要です。
ポイント7.最新の情報を把握している
税金に関するルールは早いスピードで変化します。 法制度の改正やビジネスの環境などは日々変化するので、それに対応するためには最新の情報を常日頃から把握していることがとても重要です。
例えば、最近の制度改正で大きな出来事といえばインボイス制度の導入です。インボイス制度ほどの大きな制度改正であれば対応できない税理士はさすがにいないでしょう。しかし最新の情報を常にキャッチしている税理士であれば、早い段階からインボイス制度について理解し、制度が導入されたらどうなるのかを丁寧に教えることができます。このような税理士がついていれば、不安になることなく余裕を持って制度改正に対処できるでしょう。
税理士選びの失敗例|知っておきたい落とし穴とは?
税理士選びの失敗例を紹介します。
・金額が安いという理由で選んでしまった
・近所というだけで選んでしまった
・知り合いの税理士だからと安易に決めてしまった
悪い税理士・ダメな税理士の見分け方も押さえておくことで、税理士選びの失敗を避けることができます。
失敗例1.金額が安いという理由で選んでしまった
税理士に依頼するうえで支払い報酬は重要ですが、金額が安いという理由だけで選ぶのは危険です。報酬がどんなに安くても納得いくサービスが受けられなければ意味がありません。報酬は必要なサービスを受けられることが前提で、それに見合った金額であるかどうかという点で判断しましょう。
また逆に報酬があまりにも高いと、金額に見合った成果が得られないという不満につながります。税理士に支払う報酬は、相場観を踏まえたうえで適切な金額であるかどうかという観点でチェックしてください。
失敗例2.近所というだけで選んでしまった
税理士が近所にいれば相談しやすいので、近所の税理士を選ぶという選び方があります。しかし近所という理由だけで選んではいけません。確かに近所にいれば相談したいときすぐに相談できるというメリットはあります。しかし最近ではZoomなどを用いたオンライン面談を活用している税理士もたくさんいるので、住んでいる場所に関係なく税理士を選ぶことが可能です。
相性や得意分野もわからないまま近所の税理士を選ぶと、のちに後悔する可能性があります。近所の税理士であるかどうかは税理士を見極めるうえでの、考慮要素の一つ程度に考えておきましょう。
失敗例3.知り合いの税理士だからと安易に決めてしまった
税理士を知り合いの紹介や付き合いなどで簡単に決めてしまう人もいますが、これまで説明してきたように税理士との相性やレスポンスの早さ、詳しい業界などは税理士によって異なります。そのため知り合いの紹介だからといって自分にとって最適な税理士であるかどうかはわからないので、それだけの理由で税理士を選んでしまうと失敗する可能性があります。
仮に知人にとっては良い税理士であったとしても、それがほかの人にとっても良い税理士とは限りません。良い税理士か悪い税理士であるかどうかは、自分のなかで明確な基準を持ち、自分で判断しなければならないのです。
良い税理士の選び方や探し方
まずは税理士に求めることを明確にすることです。税理士にお願いしたいこと、どんな点を重視するのかを決めておくことで、どのような税理士に依頼すればよいかがわかります。
税理士の選び方のポイントは、本記事で紹介した良い税理士の選び方・見分け方で紹介したこととも共通しますが、例えばレスポンスが早く相性が良い税理士を選ぶことは税理士選びでも重要です。
また税理士の探し方としては、WEB検索や税理士紹介サイトの活用、周囲の経営者からの紹介、取引中の銀行や保険会社からの紹介といった方法があります。
▷税理士の選び方や探し方、変更するタイミングについてはこちら
まとめ
良い税理士は顧客目線に立ち、事業を成長させるために必要なアドバイスを適宜行い柔軟に対応してくれます。最新の情報やITツールの活用に対応していない税理士もいるので、良い税理士を選ぶためにはこれらの点にも着目しましょう。
金額が安いから、近所にある税理士事務所だからといった理由で簡単に税理士を決める人もいますが、自分にとって最適な税理士を選びたいのであればこういった安易な決め方はおすすめしません。本記事を参考に良い税理士の見極め方をおさえ、よく検討したうえで最適な税理士を選びましょう。
その他、気になる点やご相談などございましたらお気軽に税理士法人アイ・タックスへお問い合わせください。